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証券会社時代の事件簿(4)横領事件のその後

Mさんの横領が発覚しその顛末が明らかとなりました
会社はMさんの持ち株と身元保証人だったMさんの妻の実兄から横領された1,200万余りのお金を回収、事件発覚から約1週間後にMさんを懲戒解雇としました





当時Mさんは40代前半くらいで勤続10年以上でしたが、懲戒解雇のため退職金はありませんでした
Mさんは単身赴任で関東に来ており、四国の自宅には奥さんと3人の子供さんがいました(一番下の子は2歳か3歳だったと思います)


横領の顛末や動機がどうであろうと、Mさん家族はこれからも生きていかなけれななりません




Mさんが懲戒解雇された数日後、私のいる支店に四国にいるMさんの奥さんから電話が入りました


奥さんの実兄が横領されたお金を弁済した直後に、Mさんが行方をくらませたというのです
そして、電話番号の書かれたメモが見つかったので、何か心当たりがあれば教えて欲しいというものでした


私は、奥さんに対しては同情的だったので「調べてみます」と約束をしました



その電話番号は、私のいる支店の近くの不動産屋の電話番号でした
Mさんがその不動産屋を通じてこの周辺にアパートを借りてるなどと言う情報は一つもありません
ただその不動産屋の電話番号の紙切れが一枚あっただけなのです
もし、Mさんがその不動産屋で物件を借りていたのなら、奥さんのためにも居場所を特定してやらねばなるまい、と私は考えました




私は、不動産屋に電話をしてみました
そしてこう言いました


「Mさんという人が単身赴任で最近この周辺の住まいを借りてるはずなのですが、Mさんが急に入院してしまって正確な住所まで分かりません、四国から奥さんが身の回りの物を持って行きたいというので、もし最近Mさんに物件を仲介されたのなら場所を教えて頂けませんか?」


人の良い不動産屋の社長は「それなら分かりますよ、明日で良ければ車で案内します」と言ってくれました


翌日、奥さんが夜行バスでやって来て、一緒に不動産屋へ行くと不動産屋の社長が車を出して後部座席に私たちが座り、Mさんのアパートまで案内してくれました


Mさんの借りたアパートは女性契約社員Uさんの家のすぐ近所でした


社長は先頭に立って私たちを案内し、持ってきた鍵で部屋の扉を開けてくれました


すると、家の中でちょうどトイレに入っていたMさんが音に気付いて、トイレから顔を出したところで奥さんと目が合いました
奥さんはすぐに中に上がり込みMさんと大バトルになったのでした



不動産屋の社長はその様子を見て「騙したね?」と一言私に言ってそそくさと帰って行きました


私は二人を支店まで連れて行き、応接間に入れて二人だけで話し合いをさせました
パーテーションで仕切られただけの応接間から、奥さんが急に大きな声を出したり、泣き声になったり、Mさんが言い訳じみたことを言ったりするのが聞こえてきましたが、しばらくすると二人は頭を下げて帰って行きました


Uさんは、Mさんの横領が発覚する少し前に会社を辞めていましたが、支店の近くを歩いているところを偶然会ったことがあります
ツンとしてこちらに敵意を剥き出しにしているような感じでした




そして他の女性契約社員に聞くと、会社の悪口を触れ回っているとのことでした
盗人猛々しいとはこのことです


私はUさん宛に、今後悪評を触れ回ることがあれば法的措置を講じる等の内容で内容証明を送りつけてやりました


その後、Mさんはタクシーの運転手になったという話を聞きましたが、奥さんとどうなったとか、Uさんとどうなったとか、ほかの話は入ってきませんでした


ただ、世の中には悪い波動がたくさんあふれており、そうしたものに触れてしまうと身を持ち崩すことになってしまいかねないということです

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