証券会社時代の事件簿(1)宗教勧誘事件
以前、私が証券会社の支店長をしていた時代に、健保制度を利用してたった3か月の在籍で出産育児一時金を手にすることに成功した女性契約社員のことを書きました
この支店で支店長をしてたのは2年半程度だったと思いますが、実に様々な問題が発生し解決していきました
そのひとつが上記タイトルの「宗教勧誘事件」で、もう四半世紀も前の話です
同支店には正社員が10人程度、契約社員の女性が10人から15人程度いて基本的にはテレコール営業を行っていました
あるとき、女子契約社員から相談があると言われて話を聞きました
同じ契約社員のNさんから休日に呼び出されて宗教の勧誘を受けたというのです
正社員ならすぐに入る情報も、女性契約社員は社歴も浅く既婚者も多かったため、なかなかセンシティブな情報が入りにくく、実態を把握するために私は内密に他の契約社員にヒアリングをおこないました
すると、出て来る出て来る
Nさんに呼び出された、宗教の勧誘を受けた、入信しないと不幸が訪れる、特に若い女性には出産の際は奇形児が生まれる等、多くの契約社員の間に蔓延していたのです
ある特定の在来仏教の宗派を名乗ってましたが、おそらくその分派や亜流の類ではなかったかと思います
私はNさんを呼び事情を聴きましたが、本人は信仰にどっぷりと浸かっており、宗教の勧誘を辞めるよう伝えましたが、思考の基準が信仰心にあり全く聞く耳を持ちませんでした
私は、社内への悪影響を鑑みて即解雇を判断しましたが、一般的な解雇であれば予告手当として一か月分の給与を支払うべきところ、正直そんなものを払いたくありません
そこで、労働基準監督署へ行って法の適用除外を受けるべく事情を説明
最初は信仰の自由(憲法20条)を理由に適用除外を認めなかった労基も二度目の説明で受け入れ、予告手当を払わずに解雇することができました
憲法20条の信教の自由は国家からの自由でしょ
社内の治安を乱す信仰心の自由は自由のはき違えにすぎません
特定宗教の霊感的勧誘の毒牙が深く根差してしまう前に解決した事案でした