父に遺言書を書いてもらう
(2023/10/20記事の再掲)
2022年5月に母が終の棲家である特養に入所したことで、私もとても落ち着いた気分になれた
介護を含めた日常のことは施設の方に任せられるし、看護師も常駐するため健康管理もしてくれる
施設での生活の収支は毎月11万程度の赤字だったが、母の預金だけであと〇年くらいは大丈夫という見通しが立ったのは安心できた
父が将来もし施設のお世話になった場合もどれくらいの費用がかかるという目途が見えたのも良かった(父は介護、医療共に2割負担なので負担はもう少し増えると思うが)
問題なのは人の寿命は分からないということだ
特養に入所したときの母は85歳で、そのときの父は92歳だったが、要介護5の母がこれから100歳まで生きて、自立している父が明日ポックリなんてことが現実的にはあり得る
特養の費用がかかる母が長生きした場合、母の年金だけでは足らず母個人の資産が枯渇した後は当然持ち出しとなるのだが、仮に父が先に亡くなり相続が発生した場合はその遺産を使うことになる
そこで問題が一つ発生する
役立たずの兄の存在だ
母が倒れた後さっさと荷物をまとめて実家を出て行って以来どこに住んでるかも分からない役立たずだが一応相続権はある
だからと言って父と母どちらが先に亡くなろうと(少ないとはいえ)その財産の相続を野放図に主張されたら不快だろうね
兄には兄の人生があったろう、言い分もあるかも知れない、しかしお前は今まで既婚者のくせにひとりで親と同居しながら何をしてきたのだ?
特養で穏やかな生活を始めた母がこれからもずっと長く安心して生活できるために今のうちに手を打っておこうと私は考えた
そこで私は父に私にすべて相続させる遺言書を書いてくれるよう頼んだ
父の持つ資産は築30年以上の家と土地(私と50%ずつ共有名義)と地方の土地(資産価値無し)と銀行預金が1,000万円程度に過ぎなかったが、生きてる限りは年金が年額315万なので生活に不自由は全く無い
問題は高齢の父が突然亡くなってしまった場合だ
資産規模からして公正証書によらず令和2年から運用が始まった自筆証書遺言書保管制度を利用することに決め、書式要件に沿って全財産を私に相続させる旨のひな型を作り、父に読んでもらったうえで自筆で書いて欲しいと伝え、後日取りに来ると確約した
現実的には、父母の通帳は父が保管していたが、通帳、印鑑等保管する金庫の場所と鍵の場所を私は教えてもらっていたし、父に頼まれて生活費を下しに行くことは度々あった
そういう意味では、すでに私は父母のお金を管理していると言えたし、私自身は父母のお金を当てにすることはなかったが、介護や医療を含む親の生活に関わるお金はすべて親のお金で賄って欲しかった
しかし、母の見舞いや面会は私が中心に動いており、万が一父が先に亡くなり施設の母が長生きしたとしたら、私が母の穏やかな生活を保障し、仮にお金が足りなくなったら私自身のお金で支えていこうとも考えていた
数日後、父が自筆してくれた遺言書を持って父を連れて、地方法務局まで赴き保管の手続きを行った
費用はわずか3,900円である
遺言書の手続きと言う厳格な法律行為にしてはずいぶんと安い
父の財産は現金と不動産のみで合わせて約2,000万円程度だが、役立たずの兄には遺留分だけが残された形だ
私に言わせれば兄には遺留分の価値すらないが、将来父が亡くなったときに遺留分侵害額請求権(旧遺留分減殺請求権)を行使するだけの知識が兄にあるかどうかは知らないけど、正直どうでもいい
と言うのも、父の遺言書では私を遺言執行人に指定してもらっているが、初めから遺留分を兄に渡してもいいし、請求してくるのを待ってもいいし、時効(10年)で消滅してしまってもいいし、今のところ兄の将来の態度で決めようと私は考えている
これを書いている2023年10月現在、母は既に死亡し、父は介護の世話にもならないほど元気で頭もしっかりしている
母が死亡後、母の預金はすべて父に相続させ、それも含めて父は自分のお金を自分で管理しているが、定期的に私が記帳し、頼まれて必要な生活費を私が下しに行くという生活は相変わらずだ
そして父には「今あるお金はすべて使い切ってしまって構わない」と私は伝えている