NEOのゆとりを楽しむ生活

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真面目な高校生だった私への不思議なお年玉

多分最初のアルバイトは高校時代の新聞配達だったと思う
高1のときに、学校に「心身鍛錬」と届け出て朝刊の配達を始めた


晩秋の肌寒い頃で、16歳になったばかりであった
毎朝4時頃に起きて自転車に乗り数キロ離れた配達店を目指す


眠く起きるのも大変で、移動中は暗く、寒く大変だった



まず、新聞に折り込みチラシを入れる作業から始まって、自分の配達する分の荷ができたらそれを自転車の荷台に積む


初日は販売店の奥さんに付き添ってもらい配達するが、二日目からはひとりで回った
バイクの免許もなく、山ほどの新聞を載せて重くなった自転車を使って近くを配り歩くのだった


軒数は100軒だったかそれ以上だったか記憶にないが、不慣れな高校生のバイトなんで大した軒数ではなかったと思う


うっかり寝坊をすると自宅の黒電話にあのデカい音で督促の電話がかかって来るので、ビクッと起きたことが何度かあった


狭い公営住宅なので1階の黒電話がなれば家族全員が起きてしまう
申し訳ないことをしたという気持ちでいたと思う


配達は、エレベーターもない4階建てのアパートもあり、集合ポストではなく居住階まで配達していたのであまり効率の良いものではなかった


高校生になって初めての正月元旦の朝も新聞配達の仕事だった
暗くて寒い通りにはほとんど人影もなく、車も走ってなかった


いつもの通り4階建ての公営アパートのコンクリートの階段を駆け上がると、途中にしわくちゃになった一万円札が何枚も落ちているのを見つけた


常夜灯に照らされ、無造作にポケットから落ちこぼれてしまったような感じだった
拾って数えてみると何と4万6千円もあった


もちろん高校生の私にとっては大金で、新聞配達のひと月のバイト代よりも大金だった


おそらく年末の締めの飲み会か何かで酔っぱらって帰って来て、ポケットの中の自宅の鍵をまさぐっているうちに落としてしまったのだろう


財布を落としたのなら、善人が拾えば落とし主に戻る可能性はあるが、くしゃくしゃの裸銭では落とし主は特定できない


酔っ払いが落としたのなら、どこで落としたのかも分からないだろうし、そもそも落としたことにも気づいていないかもしれない


バイトを終えた私は、いったん自宅へ帰り改めて自転車で一番近い交番へ行って拾得物の届け出をおこなった


そして半年後、正規の手続きを経て、拾ったお金は私に属するものとなった


※今は3か月で拾得物の所有権を取得することになる

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