少年時代の思い出(4)車酔い
子供の頃はよく車酔いに悩まされた
電車でも自動車でもバスでも乗ればすぐ酔ってしまったものだ
電車で母とともに母の実家である新潟の奥深い山の中へ向かったことがあるが、酔った私(まだ未就学児)が酔って吐いて、前に座る会社員風のお兄さんの革靴にかけてしまったことがある
当時の電車の中は向かい合わせの座り心地の悪い席だった
乗り物に乗るときは常にビニール袋等持参していたが間に合わなかったのだ
私は電車酔いでぐったりしていたが母は平謝り、会社員風のお兄さんは怒ることもなく優しく受け止めてくれた(と思う)
昔は驚くことに電車の中も喫煙可で、何だかいろんな臭いが入り混じっていて車酔いするには最高の環境だった
だから乗った瞬間には子供心に「今日はヤバいな」とすぐ分かったものだ
車で行くときもまさに苦行だった
まして昭和40年代の日本は首都高や東名高速はすでにあったが関越道も東北道も無かった時代
新潟の母の実家に行くときは、それはもう意を決して出撃するような気分で向かったものだ
東京から大宮バイパスを経て国道17号をひたすら北上する
盆暮の時期はその道が大渋滞を起こし、一般道を車が行列を作る
今や関越道を使えば都内から雪国湯沢まで2時間もあれば行ってしまうものが、当時は24時間の民族大移動だ
赤城山麓にあるR17の赤城ドライブインに深夜到着すると「やっとここまで来れた(でももうクタクタ)」と感じたものだ
一方、父の実家は名古屋で車で行くことが多かったが、その時は既に東名高速が開通していて安定高速走行だったからか、パーキングが適時あったためか、酔った辛い思い出は少ない
車酔いはなぜ起こるのか
三半規管がどうとか言われるが、私は精神的なものが大きいような気がする
少年時代の私は夜尿症で漠然とした不安感を持ち、常に切迫感や焦燥感めいたものがあったせいか不注意による怪我も多かった
車酔いもその不安定な精神がもたらす結果であった気がする
小学校も高学年になるといつの間にか車酔いすることもなくなってしまった