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母の葬儀と先祖供養のあり方について

2022年12月母が亡くなった(享年86)※満年齢
身内が亡くなるとその瞬間から慌ただしい段取りが始まる


死亡を医師によって確認されると、看護師によって死後処理がなされた
決めていた葬儀屋に連絡し30分後に来てくれることになり、自宅に搬送してもらうことにした


葬儀は亡くなった日から10日後にした
火葬場には空きがあったが、慌てて事を成すのを嫌った私は敢えて日にちを開けて段取りをするようにした


その間エンバーミング処理を施し、ドライアイスも用意することになったが、故人との時間をゆっくりと過ごすことができた


実は、私は世襲僧侶ではないが僧籍を持っている(禅宗)
これまで葬儀は50回程度、法事なら1000回近く勤め、塔婆も累計5000本以上は筆で書いただろうか、今も読経の教本を丸ごと一冊諳んじている


戒名もこれまで100件以上は作り授戒しており、葬儀の相談は300件以上こなし、さらに墓に関する修士論文も書いている
したがって小規模な寺院の住職よりもはるかに経験値は高い
(今は還俗しその活動はしてないが、僧籍を得るに至った経緯については改めて書き残したい)


しかし肝心なのは数ではなく、常日頃から勉強しながら仏事に倣い、故人の供養に資する努力をし、葬家家族の心に寄り添い、常に謙虚で贅を律する暮らしすることだと思う
(世襲で胡坐をかいているなまくら坊主は耳が痛いのでは?)


自分で言うのもなんだが、その辺にいる道楽にうつつを抜かし物欲、銭欲、色欲に塗れた嫉妬深い坊主よりはるかに勉強熱心で真面目でマトモだ(と思う)


当然ながら葬儀での導師は私がなり、作法に従い逮夜(通夜)と葬送の儀を勤め上げた


母が亡くなる数か月前には両親の戒名も考え知人の仏具屋に頼んで夫婦位牌(めおといはい)も作っていた
戒名の格と二日間の読経は周辺の相場では約70万の費用(お布施)がかかるところ、私自身が勤めたことでその分を祭壇や花、返礼品等に費用をかけることができた


そして、葬式の読経が終わった後出棺までの花入れの時間を十分とって祭壇の花をたっぷりとお棺に入れることができた


ところで、どんな葬儀にしようかは葬家が自由に考えれば良いと思う


故人が生前に「葬式なんか簡略でいいよ」とか「遺骨は海に撒いてくれ」とか残す場合もあるかも知れないが、あくまで参考程度にするのが良い


というのも、故人の供養というのは「故人のため」であると同時に「供養する人のため」でもあるからだ


現実的には死んだ人間は泣きも笑いもしないが、供養する側は故人に思いを馳せ、弔いの心を持つことによって自身の心にも安寧が得られる
死んだ人のことも大切だが、今生きてる人はもっと大切なのだ


供養とは故人に思いを馳せることであり、その形はどんなものでも良いと思う
年回供養は故人に思いを馳せるきっかけになるけれど、けして義務的にならずできる範囲で親族等が集まって故人を思い出してあげるれば良いと思う


仏教に「七分獲一(しちぶんぎゃくいつ)」という言葉があり、様々な仏典に出て来る有名な言葉だ


平たく言えば、供養で得られた功徳は故人へは七分の一、供養する側へは七分の六が返ってくるというもの
七分の六もの功徳が得られるのなら先祖供養をしない理由はない


話は戻るが、葬儀や法事等の祭祀は家族が安寧を得られるやり方で良いと思う


葬家が寺院墓地を持つ檀家である場合は寺檀契約により菩提寺の坊さんを呼ばざるを得ないが、それ以外は知らない坊さんを呼ぶ必要は全く無い
(檀家ならば祭祀をするなら寺を通す義務がある)


戒名の格とか、どんな文字を入れるかとか、そもそも戒名を付けるかとかは些末な問題であり、供養そのものに影響はないが、戒名は作れば石に刻まれ位牌に残るので知らない坊さんではなく葬家である程度は考えて付けたほうが良いだろうと、私は思う


石原裕次郎が亡くなったときに兄慎太郎は海が好きだった弟の遺骨を海に撒いてあげたいと考えたが当時の墓埋法の解釈では無理があった
法務省の高級官僚による拡大解釈で海洋散骨や樹木葬が認められるようになったのはそれからわずか数年後のことである


散骨と言うのは一度撒いてしまうと、蒔いた遺骨を後から回収することができなくなる
また代々継承する家墓だろうと赤の他人と一緒の合葬墓(永代供養墓と同義に近い)だろうと、墓や納骨堂のように納めた遺骨が存する場所は供養の対象となる、言わば弔いのシンボルになる


そういう意味で、海洋散骨や樹木葬にはやや抵抗があるというのが現在の私の考えだ


母の遺骨は今でも実家の祭壇にある
墓地は公営霊園にあるが3回忌までは実家に安置してから納骨したいと思う
その方が父も寂しくなかろう

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