証券会社時代の事件簿(2)横領事件
今から四半世紀も前、私が証券会社で支店長をしていた時のこと、1998年から2001年の頃でした
私も30代も半ばで一番脂が乗っていた時期、既に東京で支店長職ではありましたが、近県で新店舗を出すに当たり初代支店長に抜擢されて就任したのです
着任した支店には営業スタッフ正社員10名弱と契約社員の女性スタッフが10名から15名程度に加えて男性の管理スタッフのMさんが1名いました
新店舗なので着任スタッフはその支店ではみな新メンバーということになりますが、私が業界誌に依頼して新店舗新スタッフという触れ込みで取り上げて頂いたこともありました
しかし、この支店に私がいたのは3年弱でしたが、実に様々な事案や事件が発生したのです
着任して2年近くたった頃だと思います
定期異動の時期となり、管理スタッフのMさんが転勤を命じられ、代わりに他支店から男性スタッフがやって来ることになりました
Mさんは私より少し年上の男性で、四国に妻と3人の小さな子供がいましたので、単身赴任で関東に来ていた方でした
Mさんの仕事は営業スタッフから受けた注文伝票を端末に入力したりする他、経理を主に業務としていましたが、衛生店とは言え一人で管理業務を担ってきたので苦労もあったと思います
ところが、転勤の辞令が発せられてたにもかかわらず、Mさんはその準備?に明け暮れながらなかなか転勤先へ動こうとしません
「後処理等に追われているのだろうな」と思いつつ見てましたが、辞令から2週間たってようやく転勤先へ移動し、代わりに他支店の方が管理スタッフとしてやってきました
そして、その二日後
新しく着任した管理スタッフに「ちょっとよろしいですか?」と朝一番で呼ばれ、重大な報告を受けたのです
管理スタッフ「帳簿残高と現金残高が1,200万円合いません!」
私「えええっ!!」
当時、現金の管理を含む経理は支店長の職務分掌にはなく、管理スタッフの専権事項でしたが、すぐに私は状況を飲み込めました
私は、東京にいる関東営業部長に電話を入れ事情を話し、Mさんがちゃんと会社に来てるかどうか、来てたら拘束もしくは事情聴取を速やかにおこない対応策を考えて下さい、と伝えました
この後、この事件の詳細が明らかになっていきます
(続く)