墓地の承継手続きをした 無縁仏防止の対策とは?
現在父が名義人となっている墓地の承継手続きをしてきた
うちは公営霊園の芝生墓地なんだが、ここは昭和52年頃に父が契約した場所で、市内の僻地だがとても綺麗に整備されていて良い環境だと思う
しばらくは年間管理料も無料だったが、前市長の時代に年5,200円徴収されるようになった
名義変更に必要な書類
現在の名義人(被承継者)の婚姻以降の連続した戸籍謄本
次の名義人(承継者)の住民票(世帯全員、本籍地あり)
現在の名義人に配偶者を除く他の相続人がいる場合には、その承諾書
墓地承継のためにこれだけの書類を集めるよう要求するのは少しやりすぎだと思うが、意図するところはトラブル防止なので分からなくもない
以前、父から家系図を作ってくれと言われて、父が生まれたときから現在までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍、現在戸籍)を取得していたのですぐに揃えられた
現在戸籍と住民票はマイナンバーカードを使ってコンビニで取得(原本提出)
従前戸籍は原本を持参して連続性を確認できれば提出はコピーで良しと言われたのは有難かった
兄の承諾書は返信封筒を付けて送ったら一週間ほどで返送されてきていた
墓地を含めた祭祀財産は相続財産と違い、税法上資産価値は認められておらず、民法897条によって「系譜、祭具及び墳墓の所有権は(中略)慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。 ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。」と規定されており、同条2によって「慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。」とされる
現在の名義人である父が私を指名する以上、その承継手続きはもっとシンプルで良いのでは?と思うのだが、しかたがない
費用は300円
ちなみに私は数年前に大学院で墓に関する修士論文を書いて卒院している
その2年間に文献を読み漁り、実際の墓地経営について多数の事例を研究した
そのため、全国のどの寺院の住職、寺族、職員よりも、そして石材店担当よりも墓地管理については詳しいと自負している
※というか、寺の坊主や石材店があまりに不勉強なのだ(特に坊主)
そうした管理者目線でみると、墓地名義人(法律上は祭祀主催者と呼んでいる)の代替わりのときが肝心かなめである
墓地が無縁になってしまうのは、宗教的にも経済的にも決して良いことではない
何とか繋いでいこうと検討を重ねた結果墓仕舞いを決めた場合を除いて、ほったらかした結果無縁扱いとなり、1年間の公告後に墓が取り壊されるケースも現実的には有り得る
管理者(霊園経営者)によって墓が更地化され遺骨が無縁墓に散骨されるには理由がある
1.距離の問題(簡単に墓参りができなくなる)
2.家族の問題(少子高齢人口減少の結果)
3.経済的問題(貧すれば鈍する)
4.心的問題(どうにでもれ!関係ねえよ!)
距離や家族の問題があったとしても、墓が荒れる前に、問題意識を持って、先祖あるいは自身の将来の安寧のために生前に永代供養墓へ改葬するなど対策はしておきたいものだ
問題なのは、経済的な問題を抱えていたり、何らかの理由で「どうでもいい」となってしまった場合は打つ手がなくなることである
墓地管理料を(数年または数十年分まとめてではなく)毎年しっかり徴収するのは極めて重要である
年一回の墓地管理料の徴収は自家の墓を意識しているかを計るバロメーターとなるからだ
別に、墓地経営だけの観点だけではなく、墓地使用者(名義人もしくは支払者)とのコミュニケーションツールとして機能し、滞納があった際は速やかに連絡をすることが無縁防止のための一歩となるのだ
承継者の必要書類として本籍地入り世帯全員住民票を要するのは(墓地管理者の立場目線で言うならば)重要だ
本籍地が分かれば戸籍の附表で住所を追うことができ、世帯全員であれば推定相続人を推測しうるからだ
公営霊園でも寺院墓地でもたくさんの墓地管理料の滞納者を抱え、場合によっては名義人(祭祀主催者)が行方知れずになっているケースすらある
公営霊園では滞納対策を真面目にしていると思うが、限りある予算と権限の中では難しさもあるだろう
寺院墓地では墓地使用者の半数が滞納しているという話もある
取りやすいところから取り、面倒なところはほったらかしにするという怠惰で不真面目な寺院住職ならではの結果だ
ちなみに私は、行政書士として5年間活動し、ある寺院の滞納を根絶した経験がある
行方知れずになった滞納者を職務上請求権を使い探しあて、粘り強く交渉した結果である
そうした過程で人生の様々な機微に遭遇し、奇想天外な経験を数多くしたものだ