証券会社時代の事件簿(5)虚偽告訴 序章
私が証券会社のある関東圏の支店長をしていた3年弱の間に、実に多くの問題、事件が発生しました
今回の話は私自身が巻き込まれた極めて不快な事件の話です
Mさんによる横領事件から約半年後のことでした
関東営業部長が支店に来て、夜一緒に食事に出かけました
当時関東圏には5つの支店があり、関東営業部長はそれぞれの支店を定期的に巡回しており、私たちが業務を終える夜7時か8時頃から支店長や課長らを連れて食事に行くことが多かったのです
今回は、部長と私と副支店長の3人で夜の繁華街に出かけていきました
1件目の店で酒を呑みながら食事を済ませ、部長の希望で3人で韓国人パブに入りました
正直私はこういう店が苦手でいったい何が楽しいのか?などと思ってしまう性質です
一回り年上の部長は実は在日韓国人で、激しい気性の持ち主でトラブルも多かったのですが、同胞の店に行くと話が合うとでも思っていたのでしょう
私は、付き合い程度に様々なパブ・クラブ系の店には行ってますが、敢えて言えば日本人やフィリピン人の店はどこか柔らかいものを感じるのだけど、韓国人やロシア人の店はギスギスしてて非常に窮屈な感じを受けることが多かったのです
結局は、店によるとか人によるとか、かも知れませんが、お客を金ヅルとして見ているような露骨な空気を感じてしまうのは、相性もあったのかも知れません
過去何度も通った店も少ないながらもありますが、そういうところは店も女性も穏やかで落ち着いた雰囲気がありました
さて、今回は部長の希望で新規開拓の韓国人パブです
男3人は奥のテーブル席に案内されましたが、他に客はいませんでした
時間は既に23時を回っていたと思います
席に着いた私たちは、席の向かいに座ったママや女性2人(皆オバサンばかり)とハウスボトルのウィスキーの水割りを一緒に呑みながら、時には女の子がドリンクのカクテルを要望し、しばらくは和気あいあいと、しかしどこか窮屈な雰囲気で様々な話をしていました
そして、話の流れで私が以前関連会社の人に連れられ銀座に飲みに行ったときの話をすると、急にママの機嫌が悪くなり私を攻撃するような言葉を出し始めました
私の銀座の話に何か癇に障る内容があったのかは分かりませんが、その露骨な言動に私も次第に腹が立ってきて「もう帰る」と言って、店を出るために立ち上がりました
席を立ち部長と副支店長を残して店の出口の扉に向かう途中、ひとりの女性が後ろから早く出て行かせようとしたのでしょうか、私の左腕に手をかけたところ、私はそれを振り払い店の扉を出てエレベーターを降りそのままひとりタクシーに乗って帰宅したのです
翌日はいつも通りに出勤しました
副支店長からは前夜、私が帰った後しばらくしてから皆帰ったとだけ報告がありました
ところが、このあと事態はとんでもない方向へと発展していくことになったのです
(続く)